怒りのもと

2005年5月14日
今日、面白いことに気づいた。
いやちっとも面白くないんだけど、個人的には。

私は5歳にしてホステスをやっていた。もちろん金はもらっていないが。リビングで一人チャンネルを独占し、肴をつまみにして飲んでいる父にビールを注ぎ、父の機嫌を取り、父の隣に座り、父の機嫌が悪くなるのを必死に防ごうとしていた。
私の仕事が終わったあと、父の機嫌はたいてい悪くなり、母は殴られたりののしられたりしていた。あるいは、父は既に酔って帰宅をし、母に罵詈雑言を浴びせたり辱めたりしながらさらに酒を飲んでいた。

私はそんな父を憎んでいた。でも同時に彼の気持ちは理解していた気がする。
必死に理解しようとつとめていたのだ。何より彼は私の父親で、私に特別のアテンションを与えていて、私をほかの姉達とは違う特別な存在に仕立て上げていたからだ。

私と父の間の関係は父と娘の関係とは違う。肉体的な関係がなかったとはいえ、まるで恋人同士のような関係だった。そして私には私のこと理解し、見守り、愛してくれるような父親はいなかった。私を自分のニーズのために利用し、操作し、自分の楽しみのために利用し、親として子供の気持ちを察する必要性などこれっぽっちも気にしていない、母を殴る男を私は必死にコントロールしようと躍起になっていたのだった。

アに対してたびたびわき上がってくる理不尽な怒り、「愛している」と言われるたびに「そんなのは嘘だ!お前は私を利用するだけじゃないか!」と頭の中で反発する自分の反応はつじつまが合う。私には父親がいなかった。彼は父親ではなかった。私がつきあう男に母親の影を求め、父親のロールを期待し、怒りを持つ私を受け入れてくれることを望む訳には、そういう過去の葛藤があったのだ。

という風にわかった。

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